4年前

hal-u2005-05-30

ヨーロッパGPで琢磨は12位完走だった。出走停止期間が明けた復帰戦、5週間火が入ってないエンジン、不利な予選の番手、FIAの追い討ちをかけるような抜き打ち検査‥‥。そんな中、現状で得られる最良の結果だったと言ってもいいのかな。
燃料を多く積むなどしたチームの思惑とは裏腹に、スタートで少しでも順位を上げようとしたのはレーサーの本能でしょう。昨年同様、ニュルブリンク名物の第一コーナー(ヘアピンカーブ)でダメージをうけ、9位にあげたのもつかの間、ピットインしてフロントウィングをチェンジ。順位は18位となった。ただ、この時に判断よく給油をして、臨機応変に対応したのは良かった。その後はひたすら我慢のドライブが続いて、終わってみれば‥‥というわけ。
すべては北米ラウンドのための布石であり、絶対にリタイアだけは避けなければならなかったのだから、これで良かったということになる。ただし、レース内容を見るにつけ、その高いとされるポテンシャルには疑問符が。次はニューエンジンで望むだけに、その真価が問われるところ。
  
それにしても、ライコネンのクラッシュシーンには驚かされた。右前輪にできたフラットスポットによる振動と、否応のないペースダウンで2位のアロンソとの差がみるみる縮まっていく。このままでは最終周には追いつかれることは間違いなかったなかで、あと1周足らずという場面のクラッシュ。右フロントのサスペンションが負荷に耐えきれずに無惨に砕け散り、タイヤは安全のために備えられているケブラー製のテープによってのみマシンから離れていくことはなかった。もしこれが長いストレートでの高速走行時や、競っている場面で起きていたらと思うとゾッとする(もちろん、その恐怖を誰よりも感じていたのはライコネン本人で、それに立ち向かっていた勇気は賞賛されてもいい)。4年前の豪州GPでは200kmのスピードに耐えきれずにタイヤを慣性にゆだねてしまったケブラーテープも今回はもった。ライコネンにもケガはなく、バトンもギリギリで難を逃れた。
だからといってこのままでいいとも思えない。新ルールによって、レース終盤まで気が抜けないようになったのは良かった。しかし、そこに安全性への配慮が欠けていたら本末転倒というものだろうに。
  
レース後のアロンソへのインタビュー時でのこと。「前でライコネンがクラッシュしたのを見てどう思った?」に対して、「心配したよ」とこのスペイン人は言った。そしてその後に続いた言葉は、「彼のマシンの破片を拾ってダメージを受けたりしたら大変だからね」。
そっちかよ。
  
写真は「残留請負人」大久保の写真。いい絵なので。