オリンピア

沢木耕太郎の「オリンピアナチスの森で〜」(1998年刊行)を読んだ。ベルリン大会での日本人選手の活躍を中心にした構成で、単に記録映画にとどまらない傑作として名高い「民族の祭典」「美の祭典」を監督したレニー・リーフェンシュタールのインタビューを交えながら、当時のベルリンで何が起こっていたのかを、当事者たちの記憶や資料をもとに探求している。
こういうタイミングだから、すごく読みたくなって、一気に読了してしまった。約70年前の話なのに、およそ今と変わらぬ新聞社間の競走や、そこにも由来される過度な期待に、「勝者」と「敗者」の明と暗。ただ、そこに懸けられる情熱や真剣さが当時の時代背景と相まって、悲壮でもあり、また美しくもあり‥‥
前畑や吉岡、孫など、純粋に、ただひたむきに生きてきた、競技者たちのその有様に感動しました。