2022 プレシーズン

昇格、残留、そして…ということでぼんやりした「アビスパ福岡」というクラブに色が着こうとしている。それは直近の2年だけでなく、井原さんの頃からの積み重ねとより健全な競争が進んだおかげだろう。
TV番組での長谷部さんと藤本さんの対談は非常に興味深く、おそらくお互いにとって有意義なものになったのではないだろうか。あの場での長谷部さんの発言には「なるほど」と思うことしきり。特にベテランへの処遇などは。

さて、昨季のレベルを今季もとは言いたくなるが周りのこともある。激しい戦いが待っているはずだ。J1での中位とはそういうレベルだろう。維持じゃない、新たな挑戦なのだ。「8位以上」という目標設定はそういうことなのかと感じている。

それにしても他所はずいぶんと人の動きがあったと思う。半分くらいは別のチームになったような印象を受ける。実際にシーズンが始まらないとわからないが、昨季との違いというものを見渡す楽しみがあるというのは嬉しいことだ。

そしてアビスパ。戦力をほぼ保持しながら、ピンポイントでの補強がなされた。新加入、そしてレンタルバックの選手たちにはもちろん期待しているが、昨季のメンバーには本当に期待している。彼らが進化することでより上質なフットボールが観られるはずだ。

残念ながら新型コロナの影響下で今季も推移していくことになるだろう。チームだけでなくスタッフ、家族といった周囲の人たちの気遣い、気苦労は察するに余りあるが、たとえ陽性者が出ようとも誰も責められるものではない。もちろん一昨年来から培われてきたルールやマナーは守られるべきで、サポーターがチームの足を引っ張るようなことはあってはならない。「静かに熱く」ということで良いのだし、それで結果が出たのだ。

あと3週間。とても楽しみだ。

高校サッカー選手権決勝

久しぶりに高校サッカーをちょこちょこと観ていたけど、まさか決勝でこんな試合が観られるとは。まさにワンサイドゲームと言えるものではあるが、大津が頑張っていたのは間違いない。そうでないともっと差がつきそうな内容だったからだ。

KOから序盤の大津は極端な守備陣形を採用せずに、あくまで勝ちにいった姿勢を見せるが次第に押し込まれる。それでもGK佐藤瑠星くんの好セーブなど集中した守備を見せていて、そういう構図はアビスパのようでもあった。しかし、青森山田のキャプテン松木玖生くんが前半36分にCKをとった後で声とジェスチャーで鼓舞すると、スイッチが入ったようになって直後に先制点が生まれた。その後は‥ということで、大津はシュート数も0に抑えられて完封された。

大津には森田大智くんなどテクニックのある選手がいるので、中盤の圧力にも抗い続けていたし、あと一歩というシーンも散見されたが、90分にわたって時間を与えない青森山田の前にパスが少しずつずれていく。そこで工夫があればよかったが、あの強度の練習はしないだろうし、その環境も無いはずだ。もしその環境を作るとしたら、プレミアリーグに所属するチームに前半と後半にわけてそれぞれ全力で対戦してもらうとか、大学のチームを相手にするとかになってしまうかもしれない。

かつて隆盛を誇った国見も圧倒的なフィジカルで三冠を成し遂げるなどしたが、そうしたスタイルに対しての対抗策というものも出てくる契機になったと思う。この青森山田はそういう存在になってしまうだろう。ちょっと衝撃だった。

それにしても松木くんという選手は、まさに超高校級で不遜さも垣間見えるほどに力強かった。ちなみに早速FC東京のユニで撮影してるのを観たけど、その中で山岸の山ピースを下に向けるようなポーズをとっていて、どうやらイニシャルのMを表してるらしい。まあ中指を使っちゃってるのはどうかと思うが笑。

2022年

プレミアリーグ、2022年の最初のゲームはアーセナルマンチェスター・シティ。現地時間で12:30KOということで日本でも早めの時間帯に観ることができた。

結果としては予想したものだけど、こうならない可能性もあった。ミッドウィーク開催が新型コロナの影響で延期になったガナーズと、中二日のシティではコンディションに差があり、ぶっちぎりの首位チームはかなり苦労していた。ガナーズは特別良かったとは思わないが、互角以上の戦いをしていたので、成長してきているのだろう。今の位置にいることの理由を示したと思う。何しろ4か月前には0-5で完敗していたのだ。

その大敗の後の4節からラムズデール、冨安が加入してチーム状況が一変した(スミス・ロウはこのタイミングでチームミーティングがあり、それがキッカケになったとも語っている)ガナーズがこのゲームで示した「トップ3相手にも戦える」ということは、それなりに現地でもインパクトを残せたのではないだろうか。

試合前には2015年から続く連敗のスコアが流されているほどに、ガナーズにとってこのカードは鬼門らしく、残念ながらその歴史は続くことになった。それでもPKを与えるまでは主導権を握っていたわけで、ジャカは無駄なファウルだったと思う。相手は既に倒れようとしており、ユニフォームを掴む必要は無かったのだ。隠せていると本人は思っていても、VARがある以上軽率すぎるミスを犯したといっていい。

それでもまだどうにかなる展開であったのが、ガブリエウの退場によって状況は悪化した。すでに1枚もらっていたにしては軽率なプレーである。ビッグカードになるとナイーブさを露呈してしまうのは、このチームがまだ未熟なことを示してもいる。

しかしながら、冨安は普段通りに好プレーを連発していた。怪我&コロナ陽性で全体練習もそこそこにスタメン出場となったはずだが、それを微塵も感じさせないパフォーマンスで対面のスターリングを抑えこんだ。何しろ相手は首位チームのトップスコアラーなのだ。

DAZNの最新コンテンツで、ホワイトとスミス・ロウのインタビューがあり、そこでは冨安についても触れられていて、彼の守備についての賛辞が述べられている。と同時にサカとの連係についてもあえて触れられているのが面白い。練習やピッチ外でもコミュニケーションをとっている様子が観られて、この右サイドが深まるともっと面白いことになるだろう。

そして次はリーグ杯(カラバオカップ)準決勝、対リバプール戦のホーム&アウェーが控えている。11月末のリーグ戦では0-4というスコアでの完敗となったが、はたして。

歩みを止めない冨安

ユナイテッド、エバートン相手に連敗してからの2連勝。この間にチーム内のトラブルもあったが、とりあえずの手当てはされたようだ。

ユナイテッド戦は向こうのやり方が変わって対応に苦しんだ結果、プレッシャーに耐えられないところで綻びが出た。エバートン戦は不振のチームの「ここイチバン」の頑張りに遭い、ガナーズ自身の不出来もあってまさかの連敗となった(ちなみにエバートンはこの後にまた連敗)。

そういうタイミングでオーバメヤンからラカゼットに切り替えがなされたように思える。もとよりラカゼットの方が今のアルテタのチームに合っていると感じていたので、この連勝、特にウエストハムという直近の上位クラブに勝ったのは大きいだろう。アーセナルの現在地としては、リーグ4位をウエストハムやユナイテッドと争いながら、上位3クラブにいかに近づいていくかになるかと。

冨安に関しては相変わらず安定して良いし、しかも周囲との連携が進んでいるのも観てとれる。サウサンプトン戦の1点目はその象徴で、相手はラムズデールにボールが渡ると猛然とプレスを開始してきたが、かわしてホワイトへパス。そこも狙っているセインツで、おそらく冨安のところで取り切るはずが、ウーデゴールが下がってパスコースをつくり、冨安がギリギリのところで彼へダイレクトパスをつないだ。ここで形勢は入れ替わってウーデゴールはオーバーラップする冨安へのパスを選択。やや足元に入ったが、前方で動き直したサカに素早くパスを出して冨安はゴールに向かっていく。ラカゼットへのパスコースを切らないようにしながら相手DFを動かしてシュートコースを開けた。もちろんサカは冨安に出すことも出来たが、あの場面ではラカゼットの方がベターなのは間違いない。素晴らしいゴールだった。

最近では左SBにティアニーが入るようになったりしているが、冨安に関しては「不動」とも言える存在になってきている。そして評価も一定して高い。もちろん違うアングルをもって彼を高く評さないジャーナリストもいるようだが、まあそれはわからないでもない。しかしサカやセントラルの選手にとって彼の守備力は大いに助けになっているはずで、相手にしても彼を攻略するのは難しい。それでもやはり様子を伺ってくるわけで、つまり「敵の堅いところを突いて崩せたら大きなチャンスになる」ということなのだろうと思う。しかし冨安は対面してもほぼ抜かれない選手なので、引き付けてから中へ、という展開を選択することが多いかと思う。

まあとにかく、こうして冨安を通してガナーズ復権を観ていくのは本当に楽しいし、レベルの高いゲームが続くので、久しぶりに海外のフットボールを観る楽しみを感じている。

8位フィニッシュ。そして残留&昇格争い。

今季のホームでのFC東京戦のときに「J1で戦える」と確信した。そういう相手に最終戦で当たり、やはり拮抗した内容になった。それでも焦れることなく「らしい」戦いぶりで順位を守って、勝ち点54の8位で昇格年を終えた。何しろ応援を始めてから残留を経験したことが無かったので、本当に感謝しかない。

そしてまた気が向けば振り返っての総括をするかもしれないが、とりあえず指揮官、選手、スタッフ、クラブ関係者にはお疲れ様と言いたい。

そんな中位の純粋な熱い戦いとはまったく違う性質の試合が他会場で行われていて、その動向も気にしながら観戦していたが、最も気になっていた徳島が早い時間帯で2点のビハインドという驚きの展開に。システムのところでサイドが崩された印象を受ける。というか広島が良すぎたと言えそうで、監督が替わってずいぶん整備されたように見える。広島はシュート数7で枠内の4がすべてゴールになったということか。徳島はそれぞれ1つずつ上回りながらも決定力で差がついた格好だ。昨年のJ2優勝チームで、アビスパと同じ昇格組ということで残留して欲しかったが本当にあと少しが足りなかった。昇格はしたが指揮官が替わるという、あまり聞かない状況に晒されてもよくやったと言えるかもしれない。

そしてJ2&J3。すべてが終わって北九州が降格となった。昨季の前半の躍進ぶりを見知っていれば驚くよりない。あのリーグの難しさはよくわかってはいるが、それにしてもなのだ。

さらに熊本がJ3で劇的な逆転優勝で昇格を決めた。コーチに高橋泰がいるのは知っていたのだけど、ヘッドコーチには藤本主税がいるのは知らなかった。彼のキャリアを思えばうなずけるのだが。しかしこのコンビ面白いな。大木監督になって2年目で昇格か。降格チームがいないシーズンの昇格、というアングルもあるがともあれ来季の活躍を期待しようと思う。

いやはや、昇格年のシーズン後にこんな心持ちでいられることが新鮮すぎるなあ。

負けないこと。ニューカッスル戦冨安

やはり前半で複数点取れなかったことが試合を難しくしたと言えるだろう。それくらい押し込んでいたし、チャンスもあった。クルークスの左足が先制点を生んだが、シーズン終盤では珍しいほどに相手が彼の左をケアしなかった。監督が変わった直後でもあるので、相手がどうというより自分たちがどうするのかに重きを置いたのではという推測もできる。

後半になると後ろからのビルドアップに拘らないようになり、動きの質も高くなった仙台がチャンスを作る。良いときのアビスパ であればそれを耐えるのだが、CKから似たような形で2点を献上。相手が上手いというよりはこちらが良くなかった。ただし2点目の氣田のシュートは良かったね。

それでも終盤に追いつくのが今季のアビスパであり、勝ち越すチャンスもあった。交替でフレッシュな選手たちが仕事をしたが、やはり最終的なメンバーの方が勝てるチームだなと思う。ホーム最終戦で負けなかったことは評価したい。

 

そして冨安。「いつも通りの期待以上」で躍動していた。対面の選手が守備に疎いということも手伝って、攻撃面で特に進歩がみられたと思う。課題としてはボールを受けた後のことがあるだろうが、そこは周囲との連携でいくらでも良くなるだろう。この試合ではサカが負傷で下がって、マルティネッリと組むようになってからの方が良くなったし、それはあのスーパーな2点目にもあらわれている。あのパスもダイレクトだったのが良かったし、あの形でまたダイレクトで決めたマルティネッリのゴラッソは「アーセナルぽい」なと感じられるものだった。

この日の得点をアシストしたのが両SBということで、今のガナーズの戦い方の幅を広げているし、そうしようとするアルテタの考えもあるだろう。次戦はアウェーのユナイテッドということで、やや低迷しているとはいえ楽しみな相手である。クオリティの高い選手ばかりだし、なんと言っても対面にいるであろうロナウドとのマッチアップも期待している。

10位以内とアーセナル冨安

シーズン終盤でも失速しない理由の一つとして「やや高めに設定された目標の存在」があるだろう。これで今の「ハチ位」のままシーズンを終えれば素敵だなと思う。

柏の古賀太陽が言っていたようにこちらの2トップは意外なものになった。残念ながらうまくいったとは言えないが悪くもなかったかな。コンビネーションという意味ではやはり物足りないが、それはフアンマと山岸コンビ以外はおおむねそのままで来ているから仕方ない。

ジョン マリはPA内での期待感はあるし、フアンマにしても同様だ。しかし相手もあってのことなのでしっかり対応されると単騎では難しい。金森なんかも「取らせてあげよう」と気を吐いていたが実際は自分で打ったほうが良い場面ならそちらを選択してほしいなと思う。

吉岡は久しぶりに見たけれど、やはりアクセントをつけられるし守備面でも気が利くタイプだ。残りの試合でも見たい選手である。

スコアレスではあったけど良い試合だった。このまま続けてほしい。

そしてリバプールアーセナルの1戦。前半はガナーズもよくやっていたし、あの1点はまあ仕方ない。しかしレッズにリードされては難しい試合になるし、あの後半はまさにそのようになった。後半の前に気になったのは控え通路のところでアルテタが冨安とタヴァレスに何か伝えて鼓舞していたこと。ビハインドの状況で両SBに言うこととなるとやはり攻撃参加のところだろう。しかしそれが裏目に出てしまったか。最後は南野のゴールも生まれるというおまけつき。

冨安本人のプレーは安定していたし、大したものだなと思う。さすがの相手に崩されるシーンもあったがラムスデールの好セーブもあり失点にはいたらず。しかしこのGKはノリにノッているなという印象。DFラインが安定しているという側面もあるが、決定機でも素晴らしい反応と判断を見せてきている。

まあこれがガナーズの現在地ということで、どこが弱いかもある程度はっきりした。そこでどう手当てされるかが今後の注目点になるだろう。ちなみに冨安がファールを受けて倒れたシーンでアルテタが激昂していたのが何だか「良いな」と思ってしまったね。Jはもうすぐ終わるが、楽しみはプレミアで続く。