ベトナム戦 - ワールドカップ アジア最終予選

期待値が低いのであまりガッカリもしない。それにしてもCKなどセットプレーでフィニッシュにさえ繋がらないのは酷いなと思う。

ベトナムは思ったより勇敢に戦っていたし、日本はいかにもコンディションの悪い選手が少なくなくて、移動のトラブルのことを考えればあのスタメンは失策だったということだ。「良い顔をしていた」という理由にはもはや笑えもしない。

こういう力量の差があるマッチアップで新しい選手を試さないくらい森保は追い込まれているし、おそらくオマーン戦でも同じことを繰り返すはずだ。選手への信頼というより自らの保身にしか見えない。最善を見極めようとしないで、ただ希望観測のもとに無策を繰り返している。

そういう彼の態度はチームの士気に影響してしまいかねないし、実際そうなっているだろう。選手たちは頑張っているが、ベンチを含めた彼らの力を発揮させるための後押しを出来ていない。次も厳しい試合になることは間違い無く、結果次第で監督を変えることもあるかもしれない。

冨安に関しては通常運転で特にピンチもなく、良いプレーと言うほどのものもなかった。直近のワトフォード戦ではこれまでにないパスの選択があり、周囲との連携が深まっていることを窺わせた。彼がスタメンになってから8試合無敗ということで、右サイドの安定感をもたらすことでチームを助けている。DAZN内田篤人の番組で2週に渡って対談のようすが配信されたが、右SBというポジションについてこの2人が語るのは面白い。本人は「3バックの一角」が自分に最も合っているのではと言っていたが、実際試合の中ではそういう状況は多くあるし、彼のCBとしての適性と力量を示してもいる。

またDAZNで代表戦を観ることの新鮮さが楽しいなと思う。解説陣の人選、裏チャンネルも面白いし、試合前後のレビューなどは本来あるべきものだ。昔は「倉敷さん実況で観たいな」と思ったりしたものだけど、それはありうるのだ。とはいえ主に欧州に特化した仕事をされているのでどうだろう。

とりあえずオマーン戦は注目の一戦となったので楽しみだ。

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アディショナルタイムの怖さ」を知っているから集中が増すのだろう。10/17付けの西スポの記事でアビスパは「J1最多の6点」を取っているとあった。もちろん取られることもあったが、「後半に強いアビスパ」は最終盤でも力強く闘っている証左である。

この日も3バックで臨んだが可もなく不可もなしといったところだ。ジョン マリとシャドーの距離感が悪く、またパスがラフになりがちで勿体ないなと思いながら観ていた。ラフになるのは差し迫った状況でなら許されるが、そうでない場合ならただの雑なプレーだ。

後半の失点シーンだが、その直前にこちらのチャンスがあって、最終ラインからのロングボールに競り勝った金森がパスを選択するが、ジョン マリは「競り勝たない場合」の動きをしていたので最高のお膳立ては活かされなかった。その後もフォアチェックで連動できずにボールを繋がれてあの失点に至るわけで、不運な要素が大きいケースだが、やるべきことをやっていればということなのだ。

実況が「4人同時交替」を告げたのでそこで4バックに変えるのかと思ったがそれはなく、その後の交替で選択された。膠着しがちな3バックのミラーゲームとの差異は明確にはわからなかったが、少なくとも重心は上がったかと思う。そして逃げ切ろうとする相手にパワープレーで襲いかかり、グローリ、フアンマの強さがワンクッションあってエミルの前へボールを運んだ。エミルの判断はとにかくふかさずにゴール前へシュート性のボールを蹴ることで、ポジショニング含めて素晴らしいなと思う。

残留争いにある横浜FCは実際良い闘いをしたし、残り3試合で何が起こるかわからないなと言える内容だった。そして勝負にこだわる姿勢を貫いたアビスパには、このまま最後まで走り抜いてもらいたい。

勝点50

4試合ぶりの勝利で勝点を50に伸ばした。試合自体は前節の札幌戦と比べて低調に感じたが、やはり前半の印象によるものだろう。点を取ったがそれだけで、大分の拙攻とこちらの好守によってリードは保たれた。

フアンマや草民が前線に入ってからの方が良かったし、それは既に示されてきたことで残念ながら改善されていないように見える。次節以降も何かしら試していくのは構わないが、やりすぎても歪みが生じるということだ。そして観戦する側としては純粋に良い試合を観たい。

次も残留争いをしている降格圏にいるチームが相手ということで難しい試合になるだろうが、やはりしっかり守っていくところから入るのが今季のアビスパなので、そうなればいいなと思う。

変えずに合わせる

キックオフからの3バック、相手に合わせた布陣というのは長谷部さんのチームになって初めて観たと思う。そして面白かった。

ミラーゲームになって、常にどの局面でも人が足りている状況が続く中、お互いが一歩も引かない闘いが繰り広げられた。とりわけ両ウィングバックは負担も大きく、そこで負けなかったことが大きい。札幌の福森が出場停止だったということもあったが、湯澤のプレーが印象的であり続けた。

前半はこちらにチャンスがなかったが、後半に選手交替があり、そこからは決定機もあって良かった。決定機の数から言えば勝つべき試合だったとも言えるが相手GKの菅野にやられた格好だ。

システムは違ってもベースになる堅守からのカウンターは変わらず機能していたので、個々の共通理解度の基準値は上がっているなと思える。試合終了後にペトロヴィッチさんが長谷部さんに「Good Defense」と言っていたのも印象的だ。

次もまた3(5)バックを採用する大分ということで、どうなるか楽しみだ。

J1残留

今の勝ち点になったときにすでに時間の問題だった残留が確定した。この試合は負けてしまったが、内容自体は今季積み上げてきたものを表現していたと思う。今となってはアビスパはたとえ負け試合であっても十分楽しめるチームになってきている。相手が神戸ということもあって、良い意味でお互いの持ち味を引き出せた対決だったのではないだろうか。

神戸は強力な新戦力が増えて、今変わっている途中だと思うがとにかくクオリティを持ったタレントが多くいるので時間とスペースを与えないことが重要になる。それは出来ていたし、終盤になれば相手のパフォーマンスが落ちることも予想されたのだけど、実際はそうならなかった。やはり戦力の厚みが違うし、ACL出場権への気持ちの強さを感じるパフォーマンスだった。

対してこちらは選手交替による良い変化が出せなかった。なされるべき手当てもあったがあえてのことなのだろう。そこで期待されたものはこの先に持ち越しになるか、諦めるのか。目標である勝ち点や順位のこともあるが、まだ向上できるはずなので、これからも期待したい。

あちらは新しい手札があり、こちらの手札は既に晒されていた。しかし強いカードが無くてもカードが揃えば勝負できる。今季のアビスパはそういう闘いをやってきたわけで、それが強みなのだ。隊列を整えて、また次に備えて欲しい。

対応への対応

やりたいことをやられているなあと思いながら前半を観ていた。それは清水の権田のコメントにもあらわれているし、もはやアビスパの強度はJ1でも認められているのだ。それをこの試合でも示せたかと言うと、物足りなくもあったか。いや強度というか精度が低かったと言うべきかもしれない。

失点シーン(両方)はやや不運にも感じられたが、囲い込んでこぼれたボールが相手の選手のところにいくのは、読みのところだったりもするだろう。崩されたというより、ミス寄りのものなので修正は出来るはずだ。

相手はよくスカウティングしてきたと思うし、そういう中でも辛抱強くバランスをとって戦うのが今のアビスパだと思うので、後半開始直後の2失点めは誤算だった。それでも見るべきシーン、チャンスもあったし、時間が経つにつれて相手が落ちてきたからフレッシュな選手が仕事をした。ラストプレーであわやという場面もあり、下を向くことはまったくない。もし追いつけばまたしても2-2というスコアになったのか。

代表ウィークの期間をどう活かすのか。次は浦和に大勝した神戸であり、ACL出場権を争うチームである。楽しみだ。

ノースロンドン・ダービー

冨安の評価が上がっている。期待通りであるし、実際のところ彼はいつも期待を超える成長を見せてくれる。現地の記者の記事を読んで、ノースロンドン・ダービーに際してのマッチデー・プログラムに9ページもの分量で冨安のインタビューが掲載されたことを知った。それで気になって公式サイトを覗いたらまさにトップページに大きく取り上げられていた。上記のリンク先がそのインタビューの内容で、確かに長文である。

内容自体は障りのない新加入選手の紹介ではある。おそらくデビュー戦となったノリッジ戦の後にインタビューされたものをまとめたのだろう。彼の大まかなキャリア、福岡生まれであること、ユース年代にイングランド代表と対戦して大敗したこと、イタリアを経てプレミアに来たこと、吉田麻也の存在、岡崎慎司と同様にプレミアを制したいこと、さらにCL制覇の野望まで。多くの穏当な発言の中でとんでもない目標も出たが、このダービーでの振る舞いの後ではただのリップサービスでもないと思えてくる。つまり彼はその頂点に立てるチームの一員になれる可能性があるということだ。

冨安はセリエAでのキャリアのほとんどを無観客で過ごし、同様の五輪とA代表のスケジュールこなして準備期間もほとんどないまま熱狂のプレミアに突入した。そんな状況の中で彼が楽しんでいる様子が伺えて、それは凄いことだなと思う。

そういう冨安なので、ダービーでも臆することなくプレーしていた。この試合では前半で3-0というスコアになってスタジアムはまさに熱狂の渦となっていた。冨安のプレーへの反応も良く、後半にはスパーズが左を多く使ってきたので守備機会が増えたが、ここでも好プレーで沸かせている。ラムズデールとの熱いシーンや、CKではシュートも。ベン ホワイトの「右にパスをしない傾向」も手当てされていたようで、アルテタの期待感やチームからの信頼などもより感じられるようになった。これも凄い。

これから冨安越しに最新のプレミアを知っていくことになるが、彼がどのようにグレードアップしていくのか楽しみだ。