クラブ最多勝点

J1でのクラブ最多勝点を更新したということでいつ以来なのか気になった。おそらく2000年の1stと2ndを足した37を上回ったということなのだろう。ただしとりあえずの目標としているのは50ということで、まだまだである。

徳島との対戦は同じ昇格組なので「お互いが良い内容」であればいいなと思っていた。そういう意味では前半は物足りないものになった。とはいえ徳島はシビアに守備で身体を張っていたので、この対決に向けての気持ちは感じられた。エミルのアクシデントはかなり心配だし、同様のケースを実体験として知っている中払の中継時の言及は気になるところだ。

後半で雰囲気が出てきたアビスパは、金森がPAに侵入して、ボールを保持していた中村から緩めのボールが配給される。これは高さを期待したフアンマへのパスにも思えたが、金森についていたカカがはじき返したボールを山岸が競り、絶妙な落としになって反転しながら金森が右足を振り抜いた。鹿島戦以来のゴールというが、この時も山岸が肩で落としたボールを打ち抜いて決めているから、今回のはお互いが感じていたのだろう。金森は前半からよく走っていたので、そういう選手が決めるのは良いことだなと思う。

そしてこの試合でも交替が試合を動かし、決定づけた。ジョン マリの1点目はあれだけ囲まれていても自分で打つことを狙っているからで、彼のフィジカルの強さが活かされたシーンだ。2点目はストライカーとしての読みとスキルが発揮されたし、重廣のパスも秀逸だった。

1-0で終わらないチームになってきているのかもしれないが、無失点で終わらせるためにも攻撃は重要なので良い傾向なのではないだろうか。また次も期待している。

マネジメント

素晴らしい結果となった。川崎の無敗記録は昨年のアウェー大分戦で負けてからということなので、傾向としてなにかあるのかどうか。その大分に対して今月の初めにリベンジをして、その後は柏、広島とのアウェーで2つのドロー。7月にACLがあり、オリンピックの後は主力の2人が欧州へ。前回の対戦時に感じた明らかな差の一因としてチームとしての統一感とスピードがあったが、この試合では後者がやや落ちているように見えた。

とは言え前半はほとんど常に攻められている状況が続いた。中二日でのミッドウィーク開催ということでコンディションを優先させたスタメンは、渡と城後という2トップが走り回って、重廣とカウエがスペースを埋め、タイトに守備をし、宮とグティエレスが門番となり、村上が立ちはだかった。それでも川崎にすれば「いつでも取れる」心持ちだっただろうし、こちらにしても「いつかやられる」と思っていた。旗手の負傷交替は誤算だろうが、替りに入ってくるのが小林だから「どっちにしろヤバい」のだ。

どうにか前半をしのいだアビスパのプランは、2トップの消耗を見ながらどこでスイッチを入れるかなのは明らかで、無失点であればベスト。それが本当に62分まで続いたことで勝ち点の可能性が出てきた。山岸、ジョン マリ、前の3枚替えからの短い時間で明確にスイッチが入り、杉本とクルークスが息を吹き返した。

クルークスのゴラッソに至るまでの厚みのある攻撃は、共通理解としてチーム全体の圧力を増したことによるものだと思えるし、その判断が良かった。湯澤のスルーと裏抜けというアシストも見逃せないが、もはやお馴染みになってきたクルークスの左足の弾道は、早めに打ったことでタイミングを外したためにチョン ソンリョンの伸ばした手が届かなかったか。

秀逸なのはこの後の時間帯も攻め続けたことで、それは今季積み上げてきたものの中でも重要なものだと思う。残り10分は久しぶりの5バックでウノゼロ勝利。

「今季において川崎に最初に勝ったチーム」というステータスを手にしたが、長谷部さんはシーズン全体のことを考え続けている。勝利は素晴らしいが、勝ち点3以上でも以下でもないということで、また次に向けて整えて闘ってほしい。

悪くない

悪くなかった。開幕戦のことはそれなりに記憶が薄れているが、少なくともあの時とは違って、戦えていたと思う。相性としては良くない印象で、ジリジリとしながらも前半は0-0で凌いだ格好だ。

後半に入ってよく知らない選手にスーパーなゴールを決められた。アレは仕方ない。そしてこちらの攻撃はうまく抑えられたのと、良いパスが無かったということで、惜しいシーンもあったが決定機と言えるものはなかった。それでも良いところや進んでいるところは見て取れたのでそれは楽しみである。

この試合では吉田が目についたし、彼が比較的自由に動いているのが厄介だった。要するに嫌な位置に顔を出してくるので、あの得点シーンでもいるべきところにいたなと思う。名古屋は守備では遅れ気味でもしっかりくるので、逆に出血する場面もあったね。総得点ではウチよりも少ないながらも今の位置にいるのはそうした守備意識のおかげだろう。アビスパの選手が身体を張っていないということはなく、ただ相手がよくやったということだ。

次は早くも明日のホームで、相手は川崎。スケジュールで厳しい面はあるが、先月からの余裕のある日程のことを思えば、ベストの布陣で望んでもらいたい。

中位対決

いやあ劇的だった。

まず前半の先制は久しぶりだと思うけど、前節も可能性を感じていたからおかしくはないし、相手の対応もあって右のエミルが活きるようになっていた。スカウティングがあって、DFラインが下がったスペースを使う狙いが共有されたことがよかったと思う。あのシーンは配信で観戦していても「使えるスペースがあって、そこは空けられている」と感じていたので、エミルのクロスが供給されたときに「よし」と思っていたし、山岸の動き出しともリンクしていた。それを見てとってテンションが上がったところで軽やかなボレーシュートがDFの間を抜けてゴールに吸い込まれた。チャンスメイクで存在感を見せていたが、このシーンはストライカーとしての力量を示したファインゴールだった。

残念ながら前半ATに追い付かれてしまうが、あのシーンでちょっと面白いのは、フアンマのクリアがロングスローの後の藤田の方に転がっていき、たぶん中村がチェックに行こうとするのだけど前にいるセレッソの選手に邪魔されて詰めれなかったので、藤田が良いボールを上げられたように見える。バスケのスクリーンのようになっていて、露骨なものはもちろん反則だが、たまに見られるものだ。

これで振り出しに戻るが、悪い流れではない。しかしお互いに勝ち点3を狙う中位同士の対決は簡単には動かない。アビスパにすれば耐えながらも少なくないチャンスを活かしたいところだった。結局この「少なくなかったチャンス」が試合の流れをこちらに引き寄せたのだと思う。攻守のバランスが守備に偏るとやはり1部では厳しい。しかし2トップをはじめとする攻撃面でよくやっていたので、守備でも十分に相手を抑え込めたのかと。

フアンマも献身的だったし、交替したジョン マリも身体を張っていた。そういう選手が絡んでこその、あのクルークスのゴールだったのだと思う。クルークスは前節でも前のゴールに絡んでいるし、ここにきて馴染んできた印象を受ける。

まあとにかく堂々たる中位対決で、引き分けも仕方ないと思っていたところに劇的なゴールが待っていた。これは「手応え」という意味でこれまでの勝利とはまた違ったものになったのではないだろうか。悪天候が続くが、それも利用する意気込みで次もまた期待したい。

回帰

お互いに気持ちのこもった良い試合だった。広島の攻撃は常に脅威だったが、アビスパも強度を保ったまま時間をバイタルで時間を与えない。ワンタッチでの抜け出しで何度か危険なシーンもあったが、決定的なフィニッシュにはさせなかった。まさに全員守備とも言えそうな意識で前半は終始した。

前節のG大阪でも見えていたが、チームとしての意思が今季の4月くらいの雰囲気になったようにも思える。FC東京戦などはとても印象に残るものだったが、同じように昨日の試合も好感の持てるものだ。ただし、あの頃のアビスパの立ち位置と相手の対応と昨日は異なるので、チームとして進んでいることは言えると思う。

苦しい前半だったが終わり際にチャンスを2つ作って、1つは決定的なものだった。良い角度の映像が無かったのでフアンマと林の位置関係がわからないが、林が上手く対応したということだろう。

後半に入って志知が続けてイエローを提示されて退場。PKは怪しいが、あえて言うなら柏の突破に対して中で前が対応しようとしていたことを考えると、雑なプレーだったかとも思う。山岸とフアンマという2トップでチャンスを作れていたので残念な展開になった。

2失点めで終わったと思ったが、VARでオフサイド判定。ジュニオール サントスは動き直しながらDFとの駆け引きをしていたし良い選手だなと思う。それでも奈良がギリギリの判断ながら素晴らしい対応をした。MOMと言っていい。

結局この判定で流れが変わったし、広島は守備的なマインドになりながら、どこかで統一感は失われたようでもある。

得点シーンはクルークスが引き付けて、相手にすればクロスだろうと読んでいたはずだ。しかし判断良くポジショニングを上げた前へを横パスを出した。このパスがノートラップで中に入れるボールだったのが本当に良かった。左足でのシュートだったが低く強いボールだったので、青山の足の下を当たりながら地面にバウンドして、おそらくその後ろの選手の肩に触れたんじゃないかな。ドライブがかかって絶妙な弾道で林を越えてゴールに吸い込まれた。諦めない気持ちもそうだが、良い判断のパスとシュートというクオリティがあればこそだ。

連敗が無駄になっていないこともわかったし、中村という戦力も上積みされて今後がまた楽しみになってきた。

既視感

サッカー・サッカー男子の結果 - 東京オリンピック・パラリンピック特集 - Yahoo! JAPAN

スペインが保持して日本が守勢にまわる。意外だったのは日本のU-24がこれほどに守れるチームだったということ。DFラインとセントラルのブロックはA代表の3人が名を連ね(冨安がいれば4人)、個で負けていないから最後のところで封じていた。

そういう戦いはアビスパで昨年から見てきているので、既視感もあったが違いも見えてくる。U-24は高い位置で奪いにいくことはあまりしないで、バイタル付近で絡めとっていくことに終始していた印象。奪ってからのスピード感はあったが、スペインの切り替えも常に早く、前半は封じられていた。

後半は時間が経つにつれてオープンになって、日本も持てるようになってくる。しかし決定打はなく、このレベルになると、林や上田のクオリティが足りていないことがわかってくる。堂安や久保は通用していたが気負いが過ぎたかもしれない。もっと良い判断があればゴールが近づいたと思えるシーンもあった。ただしそれで結果を出してきた2人だから問題はない。相馬も良かったのだけど、とにかくこちらの2列目の突破に偏りすぎた日本は単調な攻めになっていたし、延長で前田が出ても活かせなかった。彼にニアで触らせるとかしてほしいし、CKで谷が上がったら彼を狙うべきだ。Jリーグ見ろよ、と。

谷は準々決勝のPK戦でヒーローになったが、この試合でも良かったと思う。あのPK戦でのセーブはベススタでのアレを思い出させてくれた笑。アセンシオのゴールはさすがと言うよりない。スローでわかったが、プレジャンプのタイミングが遅れていたし、DFの対応も良くなかった。アセンシオの外し方、オヤルサバルの判断が良かったが、相手に余裕を与えてしまっていたし、さすがに持たせ過ぎたということだ。だからまあ順当な負けだと言うべきだろう。

次はメダルを賭けてメキシコとの再戦となった。使い切らなかった堂安と久保に期待するしかない。昨日良かった板倉は一次ラウンドでメキシコを知っている。その彼を替えて冨安を出すのかどうかも注目される。

面白くなってきた

敗戦が続くものの、その中でもこの試合は内容が良かったと思う。チャンスはこちらに多くあったし、相手にチャンスを多く作らせなかった。

アビスパとしては、2トップが起点になってバイタルでのチャンスメイクが出来ていたし、クルークスも躍動していた。シュートは5本あったようだが、湯澤の貢献は見逃せないし、惜しむらくはパスの判断がベターだった場面もあったように思う。周囲の動きがあってフリーになれていたが、実際に良い動きがなされていたらその選手にパスを出すことでより危険な状況を作れるはずだ。もちろん決めてくれるに越したことはないが。

そしてこの試合ではVARでゴールを消されてしまった。PA内でフリーになった山岸がターンしてフアンマとの連携を選択し、リターンが浮いたのを抜群のコントロールで収めてバランスを崩しながらコースを突いた。このフィニッシュが秀逸だったし、2トップで完全に出し抜いたということも良かった。スタジアムにいたサポーターには何が審議の対象になっているかわからなかったが、OFR無しで取り消されたので「はっきりした何か」があったことだけはわかった。そして当然帰宅してから問題のシーンを確認するわけだが、結局どう見ても当たっているようには見えない。当たっているように見える角度はあっても、実際の手の動きとボールの挙動に関連性が見られないのだ。当たっているように見えるのは腕とボールが前後の関係にあるもの。しかし真横からの映像では当たってないし、当たっていればボールの回転に変化が出るだろう。明確なものは放送でも示されることもなく、違和感しかない。当たっているのと重なって見えるのは同じじゃない。あまりに微妙な判定でOFRでも答えが出そうにないし、あれで取り消されたと知れば確実にベススタは荒れただろう。そこまでしてホームチームの得点を消すものなのか。

終盤には狙っても出来ない絶妙なディフレクションからパトリックがゴール。試合後のインタビューでは優しい気持ちにさせてくれた。

最終盤では怒涛の攻めを見せたが1点が遠い。いつもの逆を見せられての敗戦はもちろん悔しいが、スタジアム観戦を楽しめたのも事実。あのシーンでは本当に喜んだし、あのスタジアムの雰囲気も素晴らしかった。ゴールは取り消されたが興奮は味わえたのだ。

またしばらく中断ということで、コンディションを整えて、より連携を深めてほしい。チームとして闘えることは証明されたので心配はしていない。