梅雨入りとお祭り

記録的な早さで梅雨入りした北部九州だけど、昨日は天候もよく良いコンディションでの試合になったと思う。そして後半途中からはお祭り感が出てきたなと。

城後の2ゴールは再現ビデオかというような似たようなカタチで、そういえば昔から見られたものだ。輪湖や吉岡のクロスがどちらも上質で、ああいうのを見ると「そこで0.5点入っている」のだといつも思う。その前のところでフリーになっていることも大きい。

カウエはコンディションを上げてきているようで、中央で重廣と共に攻守で効いていたと思う。石津のゴールもカウエからのラストパスをこれもフリーで冷静に流し込んだ。もうこの辺で「今日はお祭りだな」と思い始める。だからフレッシュな山岸が入って前線からのチェックを緩めないチームの姿勢を見て、次の点を期待していた。やはり良い守備からボールを奪ってからカウンターを発動させてフアンマがゴール。ここは「誰が決めるか」のデザインが共有されていたように見える。

さあ4-0となって思い出すのはあのスコア。渡も投入されて期待は増す。しかし1点返されて退場者も出してからは現状維持を目指しつつ終了。消化試合というアングルもありながら、その機会をチームとサポーターのために活かしたのはアビスパの方だった。

また週末にホームでリーグ戦がある。良い雰囲気で臨めると思うので期待しよう。

ジャッジリプレイ

先日の仙台戦での渡のゴールシーンがやはり取り上げられた。この放送で初めて知ったのは「VARの対象にリスタートは含まれない」ということ。観戦時はリスタートの位置についてそこまで揉めているとは思ってなかった。というのもファウルの位置よりも少し後ろからのものだと感じていたから。確か中継時の映像では前のリスタートはフレームの外にあり、映されていなかったと思う。今回のジャッジリプレイの中で違うカメラの映像があったが、初めて見るものだった。なるほど、位置だけでもないのか。うん、確かに微妙。

しかし、そこはAPPの対象にならず、あの得点の場合に遡るのは志知のクロスまでだということだ。それを聞いて思い出したのは鹿島戦でのことだ。あの試合では鹿島がAPPによって正当に得点を消されていたが、その前にも気になるシーンがあって、そのことを記事内で触れていた。

 

17分のグローリのファウルの後のリスタートで、ポイントが明らかに鹿島に有利なところから始めさせてしまって、ここでは決定機に至っている。もしこれがゴールになっていたらこれもVARの対象にしなければならないはずだ。最初止めようとしていたようにも見えたがどういう判断で流したのか。不満が残る。

 つまりコレが決まっていてもAPPの対象にはならなかったということになるのか。それで良いのだろうか? 明らかに前の位置で確実に有利にはたらくケースでもそうなのだとしたら、主審には十分気を配って欲しいものだが、「何が有利か」という判断含めてどこまでいっても完全な対応などないのは理解している。

それにしてもあの渡のゴールの流れは、かなりレアなケースだったという。確かに守備側のクリアが近接した味方に当たって結果的にアシストしてしまうのはやはり珍しいのだな。渡がオンサイドにいた時点で守備側のタッチがある以上、フォギーニョの意図に関わらずノットオフサイドということで決着したということか。いやあ勉強になった。

5連勝

J1での連勝記録を伸ばした。運もあったがあの時間帯、あのエリアに人数をかけていたことが良かったと思う。仙台で西村とともに目立っていたフォギーニョは判断の良さが目についていただけに、そこにいたのも頷けるし、仕方ないと思う。VARのチェックが長いことに違和感があったが、おそらく山岸の爪先に当たっていないかどうかを確認していたのか。

とまれ渡のゴールが認められて、残り時間を無難にしのいだ福岡がアウェー仙台戦で初勝利となった。浦和に勝つことはもちろん素晴らしいが、柏や仙台といったかつての馴染みの相手に勝ってくれると「嬉しさ」が増すものだ。

この試合で注目したのはマリのスタメン。メンデスとの関係性はまだ何とも言えず、可もなく不可もなしというところだ。ただし前線からのチェックがゆるいとチームの良さが薄れてしまうことは言える。この試合でスタメンの2人、そして山岸、フアンマ、渡という5人のFWを見ることが出来た。それぞれにチャンスがあったことは良かったし、持ち味の違いもあらためてはっきりした気がする。フアンマにはアレを決めて欲しかったが…。どういう相手で、どういうゲームプランで、というところでオプションが増えるのは良いね。

俯瞰して言えるのは「お互い良い試合だった」ということだろう。下位にいるとはいえ仙台は10年以上1部に定着しているクラブである。そういう相手に対等に渡り合って、苦しい時間帯の80分すぎからはむしろ優位に立って攻めていた。その結果としてあのATでのゴールが生まれたということだ。素直に勝者を称えたいと思う。

綱渡りを恐れないのが今のアビスパであり、昨季の連勝時の雰囲気がJ1でも出てきた。次も期待しよう。

4連勝

快勝だったと言っておこう。柏のやり方を受け止めて勝ち切った。あの開始直後のピンチを村上のファインセーブで乗り切ったが、終わってみればアレがこの試合のクライマックスだったと言えそう。比較的立ち上がりでパワーをかけていた相手にすれば前半のスコアレスは残念だろうし、アビスパにすれば後半に向けてポジティブなものだった。

後半に入っても決定的なピンチを迎えるがグローリのファインプレーがあり事なきを得る。

得点シーンはCKで志知が余ってのもので「スカウティング」の成果だったという。志知がヘディングでゴールは意外だが、見事にコントロールされていた。目の前で味方と敵が競り合っていたから、予測の部分でも難しいシュートだったと思う。常に積極的なエミルとともに、両サイドバックはストロングポイントになってきている。湯澤や輪湖もいると思えば、さらに頼もしく感じる。

またスタッツを見ると金森のスプリント数が凄い。アビスパ にとって柏戦というのはそれなりに意味のあるものだと知っているのはもはや彼くらいだろうから、相当気合が入っていた顕れなのかと。

あと最後に。広島戦での前のゴラッソが月間ベストということで素晴らしい。おめでとう。チームとしては久しぶりにミッドウィーク開催が無いということで、また整えて次に繋げてもらいたい。

3連勝

「上手の手から水が漏れる」とはまさにこのことだなと思っていた。先制点のシーンのことである。志知からのクロスが良いところに入って、ハイボールを西川が一度はキャッチしたが味方に乗るような形になってバランスを崩し、反動で離したボールがメンデスの横にポトリ。それを判断良く素早く決めたのは素晴らしい。あれをミスと言うのはかわいそうだなと思うし、試合後のコメントでは風で予測と違う距離感になったみたいだ。

メンデスにすれば1人で3人を相手にしているわけで、その中で倒れることもなく慌てずにそこにいたことが運を呼び込んだ。周囲との連携が進んでいることもうかがえる良いゴールだったと思う。

早すぎる時間帯と言えなくも無いが、やはりリードがあるのと無いのとでは大違いだ。しっかり隊列を整えながら機を見て攻め上がるスタイルはJ1の水準に達していると思えるし、シュート数、走行距離、スプリントでは上回った。

またこの試合ではクルークスがスタメンとなり、まだこれからという感じだが特徴は見え始めている。縦への突破などでのチャレンジはいかにもオランダリーグでのキャリアを感じさせる。より馴染めば攻撃面でバリエーションを増やしてくれそうだ。

そしてジョン・マリ。彼はタイでキャリアをスタートさせて、東欧に渡り、直近では中国でプレーしていた。あまり過去映像などは見ていないのでどういうプレーヤーなのか気になっていたが、やはりフィジカルで強みを出せるタイプなのはわかる。それ以外の部分でどうなのかはこれから知っていくことになるだろう。ただ名刺がわりの一発は凄かったね。

志知からのクロスは湯澤に向けられたものだったかもしれないが、それをゴールを背にしてトラップし、はねたボールを反転しながら高い打点のハーフボレー。ああいうのを見るとやはりエムボマを思い出してしまう。またボレーでの得点が多かった西澤明訓などは、その理由として盟友の森島が「マイナス気味のラストパスをわざと出してくるから」と言っていたのを思い出したりも。そういう普通じゃないことがありうる選手なのかもしれない。

これからはまた違った戦い方もできるだろうし、アップデートをやめないことがチームの成長に繋がるかと。それもベースにある守備陣の活躍があればこそで、常に素晴らしいことは触れておきたい。

上昇

前はゴールまで決めてくれるのか。やはりJ1上位チームに勝ち切るにはクオリティが要るのだなと思うし、それが出てきているのは、前提として1部リーグの雰囲気に慣れてきたからだろう。

DAZNの実況、解説も言っていたように強度のある面白い試合だった。これで8位になり、10位以内のチームでは神戸を残して全て対戦したことになる。開幕以降の厳しいスケジュールの中で戦ってきた経験値を積み上げて、さらに戦力が想定されたものに近づいてきていることで結果に繋がってきたなという印象だ。

これは想定外のことではなく、昨シーズンのあの厳しさの中で勝ち抜いたチームであれば、1部でもある程度やれるのはわかっていたし、それは徳島とともに実証している。慣れる期間は終わったと言えるだろうし、これからのリーグ中盤ではチーム全体としてのクオリティを高めていくことが必要かと。そうなれば終盤で面白いことになると思う。

メンデスは馴染んできたし、クルークスやマリはまだこれから。楽しみだ。

前進

時計の針は進んでいる、そう思わせる一週間だった。川崎戦は結果としては残念だが、悪い意味でのリスペクトがあったか。しかしFC東京戦では間違いなく闘っていた。新戦力の投入やケガ人などが戻ったことで勝利につながった。

まず川崎戦。もちろん楽しみにしていたが、ミッドウィークということで相手はいわゆるベストメンバーではなく、家長、ダミアン、三笘はベンチスタート。とは言え小林、知念、長谷川は十分すぎるほどに強力だ。残念ながらトラブルでトラッキングデータを参照することができないが、長谷川のスプリントは脅威であり続けたのでエミルは苦労させられただろう。遠野は相変わらずだったし、CKのこぼれ球が彼のところにいくと「だよね」と思うことになる。運はあったにせよ危険なところに蹴り込んだところが素晴らしい。その前後でもピンチはあったが杉山が好セーブを見せていたのは良かった。

そしてエミルのゴラッソがくる。見事すぎる弾道で前半のラストプレーで同点に持ち込んだ。後半も悪くない立ち上がりだったが、ここぞというところで人数をかけられてハイボールに釣り出されたGKのこぼれ球がやはり「彼」のところへ。ここは勿体ない失点だったと思う。飛び出さなかったらエミルがクリア出来たケースだから。しかしコレ、参考に出来ないかな。あのときの川崎のポジショニングは見事だったと思う。ダメ押しも取られて1-3。攻守の切替や個人戦術など差を感じたが、現時点でリーグのベストチームを知ったことは大きい。ホームでの再戦に期待しよう。

さてFC東京戦。山岸が戻ってきてメンデスとの2トップとなったが、どちらも起点になれるので攻撃だけでなく守備面での貢献も大きいと思う。また杉本が開幕以来の出場で存在感を示した。相手のオリヴェイラアダイウトンは良い選手でスピード、テクニックともにいかにもJで活躍するブラジル人選手という印象だ。また2試合続けて相手の左サイド、こちらの右サイドでアツい展開が多くあったのも面白い。だから後半になってこちらの左を多く使い出したのかもしれない。志知はコンスタントにハードワーク出来るので、杉本や山岸などとの連携は今後も楽しみである。この日も確かに良かったが、基本的にいつも良いと思う。

得点シーンは確か杉本が起点になって、左に開いた山岸のパスを受けた志知がPA内に切り込んで‥という流れからだった。草民もよくあの位置まで入っていたし、メンデスの嗅覚も良かった。本当に惜しかったのは追加点を取れなかったこと。ただ相手がよく守ったと言うしかない。

こちらよりも上位にいる相手に勝ったことは大きい。こういう自信を積み重ねていくことでチームとして前進できる。次も期待しよう。