大阪×2

どちらも面白い試合だった。ざっくり言えば、ガンバ戦は惜しかったし、セレッソ戦は凄かった。

まずガンバ戦。グティエレスやフアンマが久しぶりにスタメンだったし、渡とフアンマの2トップは初めてだったと思う。ミッドウィークということでの配慮もあるだろうし、それ以外の要因もありそうだ。グローリに関してはどうやらプライベートでの事があったようで、ケガなどではなかったことを含めて良かったなと思う。

そして新しい組み合わせだったりしても、チームとしてやるべきことが浸透してきていると感じさせてくれた。これはシーズンを通して闘っていく中で重要なことだと思う。それをJ1の水準でやることが出来るかどうかが問われている。アウェーでクリーンシートだったというのは十分な結果だと思う。大きなチャンスもあったが、それを作ったことは評価できる。

続いてセレッソ戦。14分で退場者を出してしまうと言うトラブルに見舞われるが、こうしたケースのセオリーともなっているように、危険な前半を凌げたことが大きい。そして後半に吉岡が大きな仕事をする。この試合の彼はスタッツにも出ているようによく走っていたが、まずあのゴールの前ではメンデスによるカウンターが見れて、良いカタチになっていたことに好感を持てていた。その期待感のままに吉岡がCKからのこぼれ球を見事に叩き込んだ。GKにはブラインドになったかと思われるが、それにしても素晴らしい弾道だった。やっぱり左利きのアングルは大事。

しかしこの「乾坤一擲」のゴールが皮肉にも試合を動かす。もう少し長い時間でリードを保つことを期待していたが、中島のシュートもエグい弾道だったね。さらにその後に逆転されてしまったが、フアンマがいることはポジティブに考えていたので、セットプレーがとれたら何かが起こるかもと期待するのは当然だろう。あのゴールシーンはエミルがデザインしたと言えそうで、フアンマにしたら相手との競合いの中でボールホルダーに視線を合わせるかどうかくらいの早めタイミングであの場所にクロスが来たのだと思う。秀逸なのは緩めのクロスでゴールに向かっていける絶妙な位置にボールを送ったことで、それに反応すればあのコースを狙えるようになっていたのかとさえ思える。

終了間際には村上のビッグセーブもあり、勝ち点をゲットした。前の頑張りや、二人のゴールが無駄にならずホントに良かった。次はここ数年に限らず、Jリーグの歴史の中でもベストに挙げられそうなチームが相手である。どんな試合になるか楽しみだ。

警戒のレベル

「札幌は人数をかけてくるから、この守勢が続くとマズい」「福森にフリーで持たせるとマズい」と考えるのは誰でもそうだろうし、そのようにやられてしまった。とは言え、奈良の得点で追いつき、またフアンマや志知には非常に惜しいシュートがあってもう少しで追いつけそうなチャンスも作った。

普通に良い試合だったと思う。ただし合わせすぎた嫌いもある。だからまたこれまでのように次に活かしてほしい。ケガ人も戻ってきて、またそこからコンディションを上げていき、チームに馴染んでコンビネーションを深める。幸か不幸か試合の機会には事欠かないので、信じてやるだけだろうし、観る側も同様である。

良い兆候も見えた試合なので、またその先がどうなるかも期待している。

ダービー

5年ぶりの「ダービー」はその時間からくる差を感じつつも、アウェーで勝ち点を獲得したことは本当に良かった。と同時に残念なこともあった。

まずは試合のこと。久しぶりに見る鳥栖のプレーは「ずいぶん変わったな」という印象で、キン・ミョンヒが2019年シーズンの5月から指揮をとっているということで3年目ということになるのかな。それまでも代役的な期間はあったようだが。トップチームのコーチになる前には下部組織のアンダーカテゴリで指揮をとってきていて、今のトップチームの選手たちにも下部組織出身者が複数人いるというから、一貫性を感じる。

ポゼッションというか、繋ぐための考え方が浸透しているようだし、自信を持ってやっているなと。パク・イルギュは足もとの技術が高く、フィールドプレーヤーのようなキックでリスクのあるコースにもパスを通して鳥栖の戦術を支えている印象。というか彼がいなかったらマイナーチェンジが必要じゃないかとさえ思える。この試合で彼のセーブ技術を見ることがほぼ無かったのは二つの意味で残念だった笑。

アビスパは2試合続けてクリーンシートとなった。よく守ったし、得点のチャンスも少し作った。あのパスが、あの判断が、という惜しい場面は随所であったがそこはこれからということで。相手の特徴のこともあって割り切って昨季の連勝時の戦い方を採用したのかと思うのだけど、まあこちらのストロングポイントでもある。

序盤は予想に反してアビスパがペースを握っていたが、見ていてイヤな感じもしていた。やがて鳥栖が主導権をもって予想通りの展開に。それでも前半をしのいだことで良いイメージも持てた。山岸が身体を張っていた印象も強い。一方で本来のポジションではないケネディに多くを求めるつもりもないが、やや物足りなさを感じた前半よりも後半途中までのプレーの方が良かった。交代間際のチャンスはあと50cmくらい高いクロスが彼にはベストだった。あれは惜しい。

お互い連戦の疲れもあった中で、最後まで強度のあるプレーを続けた。終盤でチャンスを作り出したアビスパはよくやったなと思う。

 

最後に残念なことについて。

この非常時でクラブとその周囲にいる人たちは懸命に感染症への対策を継続している。それは日本のプロフットボールにまつわる文化を守るためであり、そこにはサポーターへのリスペクトもあるだろう。そういう彼らを「応援」するという行為において、この状況下では「協力」する意識が欠かれてはならない。サポートの意味を拡大して捉えるべきだと思う。そうやることで地元でハイレベルなプレーを見られる喜びを得るのだ。社会性や公共性を重視すべきで、それができない者は退場させられても仕方ない。「12人目の選手」なのだから。

連勝

ウノゼロで勝利。しかも鹿島からの勝利は15年ぶりという。その時もやはりホームで、2-1というスコア。当時の鹿島は内田篤人が高卒ルーキーでレギュラー格になり、もちろん曽ヶ端や岩政、野沢、柳沢といった代表やそれに準ずるメンバーが名を連ねていた。名前じゃないということを示したのだが、それは今回も同じだろう。

ケネディスクランブルでトップに入ったが、高さだけでなくスキルやスピードを持っているので、ある程度普通に機能してしまう。シンプルにクロスを合わせるようなシーンをもっと見たかったが、その彼のスピードが相手DFへのレッドカードを呼びこんだ格好だ。この判定はやや厳しいものとはいえ、出される形のものであることは確か。間違えれば大ケガにつながる類のもので、あの勢いで足裏を見せてよい競技ではないのだ。

ただしこの日の主審は不安定でもあった。17分のグローリのファウルの後のリスタートで、ポイントが明らかに鹿島に有利なところから始めさせてしまって、ここでは決定機に至っている。もしこれがゴールになっていたらこれもVARの対象にしなければならないはずだ。最初止めようとしていたようにも見えたがどういう判断で流したのか。不満が残る。

それまでも概ね互角にやっていたので、数的優位を得て勝ち目がさらに出たし、それは指揮官も同じように感じての山岸、金森投入だろう。しかし「10人の鹿島」はかえって面倒くさいもので、ピンチの芽をファウルで摘み取っていくことで試合を荒れさせていく。後半だけでイエロー4枚が鹿島サイドにあったが、けして警告の多いチームではない(今季は)。

鹿島にとってはケガ人が2人出たことが大きな誤算だったと思うが、勝ちへのこだわりはまったく薄れない。アビスパにとって常に難しい試合ではあったものの、やはり昨季の厳しさをくぐり抜けたチームらしく、しっかり闘っていた成果が金森のゴールとしてあらわれた。

グローリから良いポジションをとっていた草民への縦パスが入り、エミルがフリーで受けてクロスを供給。山岸が胸トラップしそうなところで肩を使った落としを選んで、金森がボレーを叩き込んだ。素晴らしい得点だった。

そしてこの試合で最大の出来事が起こる。持ち上がったエミルがタックルを受けて倒されるが、すぐ近くにいた主審は流してしまう。これがAPP(Attacking Possession Phase)の対象となって同点ゴールは取り消しに。先に触れた17分のプレーも同様で、目の前で見ている主審の判断が悪いし、レッドカードの場面では近くで見ていた副審の判断が良かったということになる。

振り返って思うのは、ケネディにしてもエミルにしても、ハードワークの結果としてボールに反応して足を相手よりも先に出せているからこそのこの勝利だと言えるので、それが本当に良かったなと思う。

さて次はダービーだ。勢いよく乗り込めるので期待している。

まずひとつ

逆転勝ちはかなり久しぶりらしい。風向きが有利に働く条件もあって後半でペースを握ることができた。

立ち上がりの失点は風のことよりも、吊り出されたDFのスペースを使われていたので油断があったと見る。とは言え強すぎる風の影響はこの試合で常にあった。プレースキックで置いたボールが動くほどだ。またスタメンでのアクシデントも前半の誤算だった。しかしファーストディフェンダーとして走り続けた山岸など集中力を保ってしのいだことが後半に繋がる。

後半は風上に立ち、交替策も功を奏して得点の匂いがしてくる。昨季でも見られた形で奪ってからのショートカウンターは石津の丁寧なパスを、速さを保ちながら上手くダイレクトで合わせたエミルのファインゴールに。ここからもしばらくペースを握って徳島DFを脅かし続けたことで相手のミスを誘ったと言える。

金森が綺麗に逆をとってゴール。彼は後半になって息を吹き返したように走りまくっていたから良かったなと思う。実況&解説が触れていたように山岸と金森がスイッチを入れて中盤以降を助けていた。

しかし徳島も当然のように攻勢を強めてくるが、粘り強く守り抜いた。村上のファインセーブもあった。イレギュラーな状況で勝ち点3を積み上げたことに、チームの成長を感じる。

スケジュールのこともあるが、うまくマネジメントできれば良いなと思う。一週間後には鳥栖とのダービーが待っている。今日の清水ー鳥栖戦を観たけれど、スコアレスでも面白いゲームだった。権田が無双していたので「よく2点とったな‥」と思うことしきり。鳥栖はいかにも状態が良さそうでよく走るチーム。久しぶりのダービーは楽しみだ。

適応が始まる

開幕戦で鹿島に勝った清水を相手にアウェーでどう振舞うか、が注目点だったがそれは期待に沿うもので良かったと思う。その上で乗り越えるべき課題に取り組んでもいるように見受けられる。

やはりミスがらみの失点が続くが積極性を欠いたものでもない。その中で2度に渡って追いついたことが素晴らしい。昨シーズン、決意を持って移籍してきた山岸がJ1で今季チーム最初の得点者になったのは良かった。それに前半からずっと頑張っていたから、そういう選手にチャンスは訪れるものだ。(これは横浜FMの前田にも言えることだなあ)

ATでエミルがクオリティを示してドローに持ち込んだ。彼も常に闘ってくれる選手だから、ご褒美はあってしかるべきだろう。あと「カルリーニョス ジュニオ良いな」とも思いながら観ていた。

1部リーグの水準を体感してやるべきことがクリアになってきたと感じられるゲームだった。

そしてホームで横浜FMを迎えての第3節。前半のパフォーマンスは狙い通りと思えるもので、得点の匂いがしていた。「取れるときに取る」ということは大事だが、そうならない中でもうまくマネジメントして90分で結果を出していたのが昨季のアビスパ

不運な形で失点してしまうが、「ああいうことがある」ということはこちらの攻撃時にもありうるということになる。単純にゴールに向かうプレーは重要なのだ。

ひとつの先制点、ひとつのクリーンシートがきっかけになって良い流れがくればいいなと思うし、それは近づいている。

あと新加入の宮、志知、金森(おかえり!)、カウエ、吉岡もフィットしてきている。メンデスももちろん悪くないけど、これからもっと馴染めば良いなと思う。

2021シーズン開幕

さあ始まった。でもまだ始まっていないような印象を受ける。たぶんそれは強度の問題なのかなと思うし、采配についてもそう。これは相手があってのことでもあるだろうけど、期待していたものとは違っている。

名古屋、そして札幌は同一の指揮官のもとで複数年プレーし続けているクラブで、やはり完成度や統一感、イメージの共有などで、アビスパとは差があるのは間違いない。それにしても、なのだ。

早い時間帯での失点が続くが、名古屋戦に関しては明確に崩されたものではなく、軽いプレーがこちらにあった。相手が上だったと言えばそれまでだけども。札幌戦についてはボールホルダーをフリーにしすぎた上でさらにミスが。クオリティの問題にはしたくないが、それを持った選手に時間を与えるとそういうことが起こりやすい。それが1部リーグだろう。

連携面含めて強度のあるゲームをしてほしい。そのための組み合わせもあるだろう。2年目のチームとしての成長を観たい。